女中のひとりが立ち上がり、キャラメルの包みが入った小袋を深月へと差し出した。その手は小さく震えており、余裕のなさと緊張がひしひしと伝わってくる。

 「詫びキャラメル……」

 なんだか語呂の良い響きで、つい声に出してしまう。

 小袋を受け取ると、思った以上に重量があった。

 「……こんなにたくさん用意してくださったのですし。もしよければ、皆さんもいかがですか」

 深月は思い切って伺い立ててみる。もともと腹を立てるどころか、関係を改善したいと思っていた深月にとって、これは喜ばしい出来事だった。