「あなたは姉さまを見殺しにした薄情者のくせに、ひとり幸せになるだなんて絶対に許さないんだから!」

 春荒は、なにも気候に限ったことではない。

 激情を吐き出す少女の姿を、彼はなにも言わずに見つめていた。

 その隠れた憂いをまざまざと目にした。

 すべての非難を受け入れるつもりでいる面差しに。忘れられない悲しい過去を静かに背負う姿に。深月は、自分の欲深さを思い知った。

 ああ、どうか。この人が――。