大きな文字でかとま君らしい。
 文章は書くのも読むのも苦手って、確か言っていた。
 頑張ってくれたんだね、一生懸命書いてくれたんだね。




……かとま君ごめん、ごめんなさい。

 かとま君にあんな言葉を言わせてしまって本当にごめんなさい。

 貰った手紙を持ちながら涙がボロボロ零れ、このベンチに座っていた彼の姿を思い出す。
 貴方のようになりたかった。
大好きな物を貫く、その生き方がカッコ良かった。
 貴方の心が強いと勝手に感じていた。
 貴方は何を言われても傷つかない、自分の世界観で生きている人だと思っていた。
 違うんだ、違うんだよね。かとま君だって、辛い時苦しい時沢山あるんだよね。
 ニコニコとその優しい笑顔の裏には私なんかじゃ想像もつかない、苦悩もあるんだよね。

 だけど、これだけは言わせてね。



 かとま君の沢山の大好きな一つに、私を入れてくれてありがとう。

 私、頑張るから。平坦ではない夢の道を、絶対に諦めないで進むから。

 かとま君の歩む道もどうか、幸福感に包まれる、優しくて暖かい道のりでありますように。
 空を見上げると、無限に広がるこの世界。
 ねぇ、かとま君。私も今、同じ空を見ているよ。かとま君もワンちゃんと、あのワクワクに満ち溢れたあの笑顔で飛行機を探してる?

 かとま君と過ごした時間はほんの短くても、私には一生の宝物です。

 さよならかとま君。また遊ぼうね。









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赤坂ななこ
新人漫画期待賞


純粋で
心優しい【かとま】の物語


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【完】