「そう言えばさ、結(ゆい)、知ってた?」 「ん、何の話?」 内容も言われてないのに「知ってた?」はないだろう。私は笑いながら莉菜(りな)に尋ねた。どうせ大したことないだろうと、流そうとしていた。 「永治(えいじ)くんって、彼女いるんだってよー!」 ポトリ、と持っていてシャーペンを落とした。 友達の話題が、こんなにも衝撃的だったことはない。 まさか、私の好きな人に、彼女がいただなんて。 *