赤と白。きらきら瞬くちいさなひかりが、魔法のように宙を舞った。

 ロッカーからあふれ出したのは、無数の真っ赤な風船と白い薔薇の花びらだった。
 ひらりと地面に落ちた紙を、佐野が拾う。

『小春ちゃん、佐野。両思いおめでとう!』

 ラメいっぱいのクリスマスカードに、ばかみたいに大きく書かれたメッセージ。
 

 なんで。
 どうして。
 

 ゆっくりと、佐野がわたしの方を振り返る。

「ごめん。俺が明希に、安藤のこと相談してて……。それでこんなことしたんだと思う。あいつ、悪ふざけが過ぎるな。巻き込んじゃって、ごめん。だけど俺、本当に安藤のことが好きなんだ」

 真っ赤な顔で佐野は言った。
 誠意に満ちた眼差しを、まっすぐわたしに向けて。

 それなのにわたしは、なんで、どうして、でいっぱいで、なにも言えなかった。

「返事、いつでもいいから。考えてくれたらうれしい」



 それからわたしは、何度も明希に連絡した。
 だけどメッセージはずっと未読のままで、電話にも出てくれなかった。