ある日、主人公の下駄箱には差出人のわからない、一通の封筒が入っていた。
 封筒のなかには『掃除用具入れ』と書かれた、メモ帳の切れ端。
 その手書き文字から、主人公は幼なじみから贈られたものだとすぐに気がつく。

 わけがわからないまま掃除用具入れを開けた主人公は、その隅に封筒を見つける。なかには『机のなか』と書かれたメモが入っていた。

 主人公が机のなかに手を入れれば、やはりまたメモの入った封筒があった。今度は『図書館のAの棚』と書かれていた。

 そんなことを繰り返し、巡り巡って体育館の裏へ行くと、そこには幼なじみの男の子がいた。
 
 ずっとずっと、好きだった。

 飾りのない、まっすぐな告白。
 主人公は封筒を握りしめ、驚きとよろこびの涙を流した。
 

 由奈は「普通に告白したらいいのに、なんでたくさん封筒を開けなきゃいけないの? 資源の無駄じゃない?」と言ったけれど、わたしにはむしろそれがよかった。

 主人公は封筒は開けるたび、胸を高鳴らせたに違いない。
 いまのわたしのように。