「なんで謝るの? 俺、おもしろかったってノートに書いたじゃん」
「でも、明希は少女漫画とか興味ないでしょ」
「確かに読んだことはないけど。あ、今度貸してよ。小春ちゃんのおすすめ少女漫画」
「それ、本気で言ってる?」
「本気。だめ? 絶対に汚したり、折り目つけたりしないから」
だめではないけれど、「こういう恋愛に憧れてる」と明希に明かすようで恥ずかしい。
しどろもどろしていると、明希が口を開いた。
「とりあえずさ。つき合わせたとか、ごめんとか言うの、もうなし。俺、そういうの好きくない」
「え……」
「もう言わないでよ。そういうの」
わずかに風が吹き、明希からやわらかな柔軟剤の香りがした。
ね? と後押しする明希に、わたしは頷く。
「まあ、そもそも俺が小春ちゃんを脅してつき合わせてるんだよな」
明希は視線を落とし、ごめん、と低い声で謝った。
その姿にこちらの調子が狂う。
「で、でもっ。映画、楽しかったよ? ポップコーンは売り切れだったけど、チュロスおいしかったし。いまだって、なんか新鮮だなって思ってるよ? すごくいい予行練習じゃないかな」
焦って口走ると、明希は顔を上げた。
「でも、明希は少女漫画とか興味ないでしょ」
「確かに読んだことはないけど。あ、今度貸してよ。小春ちゃんのおすすめ少女漫画」
「それ、本気で言ってる?」
「本気。だめ? 絶対に汚したり、折り目つけたりしないから」
だめではないけれど、「こういう恋愛に憧れてる」と明希に明かすようで恥ずかしい。
しどろもどろしていると、明希が口を開いた。
「とりあえずさ。つき合わせたとか、ごめんとか言うの、もうなし。俺、そういうの好きくない」
「え……」
「もう言わないでよ。そういうの」
わずかに風が吹き、明希からやわらかな柔軟剤の香りがした。
ね? と後押しする明希に、わたしは頷く。
「まあ、そもそも俺が小春ちゃんを脅してつき合わせてるんだよな」
明希は視線を落とし、ごめん、と低い声で謝った。
その姿にこちらの調子が狂う。
「で、でもっ。映画、楽しかったよ? ポップコーンは売り切れだったけど、チュロスおいしかったし。いまだって、なんか新鮮だなって思ってるよ? すごくいい予行練習じゃないかな」
焦って口走ると、明希は顔を上げた。