「微糖のコーヒー、飲める?」
「えっ、なんで。どうしてっ」
とつぜんの問いに、声が裏返った。
佐野のきりりとした眉が、おどけるように下がる。
「これ、間違えて買っちゃったんだ。俺、コーヒーって苦手で。よかったら、もらってくれないかな」
「あ、そしたらお金……」
「いいよ。いらない」
缶コーヒーを差し出し、佐野がふたたび微笑む。わたしは火照った顔を隠すように、うつむいてお礼を言った。
「おはよ。佐野、小春ちゃん」
ぱっと顔を上げると、日差しに髪を透かせた明希がいた。
なんというバッドタイミング。
シャーペンのことは秘密にすると約束してくれたけれど、それでもひやひやしてしまう。
そんなわたしを知ってか知らずか、明希はニッと微笑み、佐野へ近づく。
「なあ、佐野。昨日なくしたって言ってたシャーペン、見つかった?」
「いや、見つからない。あちこち見たんだけどさ」
「へえ。どこにいったんだろうな」
ちらりとわたしの方を見て、明希は目を細めた。電車のなかでほのかにときめいてしまった昨日の自分をぶん殴りたい。
「えっ、なんで。どうしてっ」
とつぜんの問いに、声が裏返った。
佐野のきりりとした眉が、おどけるように下がる。
「これ、間違えて買っちゃったんだ。俺、コーヒーって苦手で。よかったら、もらってくれないかな」
「あ、そしたらお金……」
「いいよ。いらない」
缶コーヒーを差し出し、佐野がふたたび微笑む。わたしは火照った顔を隠すように、うつむいてお礼を言った。
「おはよ。佐野、小春ちゃん」
ぱっと顔を上げると、日差しに髪を透かせた明希がいた。
なんというバッドタイミング。
シャーペンのことは秘密にすると約束してくれたけれど、それでもひやひやしてしまう。
そんなわたしを知ってか知らずか、明希はニッと微笑み、佐野へ近づく。
「なあ、佐野。昨日なくしたって言ってたシャーペン、見つかった?」
「いや、見つからない。あちこち見たんだけどさ」
「へえ。どこにいったんだろうな」
ちらりとわたしの方を見て、明希は目を細めた。電車のなかでほのかにときめいてしまった昨日の自分をぶん殴りたい。