ナオくんの一番近くにいる女の子はわたしで、わたしの一番近くにいる男の子はナオくんで、わたしたちがいい雰囲気だということはずっとわかっていた。中学の卒業式でナオくんが告白してきたときは、待ってました! と胸のうちで両手をあげて叫んだ。

 別々の高校に進学してからも時間を見つけてはデートをして、電話をして。関係は変わらずに続いていた――と思っていたのは、わたしだけだった。

 ナオくんにはいつの間にか「本命の彼女」がいて、わたしはいつの間にか「浮気相手」に降格されていた。

 友達づてにそれを知ったわたしは、居ても立っても居られず、すぐさまナオくんを問い詰めた。


 ――黙ってたのはごめん。でも、おれらってなんか違くない? 幼なじみの延長線でつき合った感じっていうか。いまの彼女は違うんだ。はじめて会ったときから運命みたいな、そういうの感じたんだよ。


 わたしたちはたしかにずっといっしょにいたのに、見ている景色はまったく違うものだった。