「いまのもしかして、でっちゃん? この鳴き声、はじめて聞いた。うわ、かわいいな!」
うれしそうに弾む声に、わたしの熱が沈む。
「キヨちゃんはこの鳴き声、よく聞くの? ていうか、なんか意味あんの?」
「これ、甘えてるときの声なんです。でっちゃん、先輩を警戒しなくなったのかも」
「まじで? やった。すげえうれしい」
先輩は無邪気にゲージに駆け寄った。行き場をなくしたわたしの手は、マネキンのように白い。
「わたし、洗面所行ってきます」
「おう。冷蔵庫あけていい? 喉渇いちゃって」
わたしは頷き、洗面所に向かった。つめたい水で手を洗い流せば、熱は完全は消え去った。ため息をつき、ついでに軽く化粧なおしをする。
長い時間いっしょにいられるのはうれしいけれど、そのぶんどうしたって化粧がくずれる。ボロがでる。あのつやつやの黒豆の瞳に、わたしはどう映っているだろう。どう映れば、もっとわたしを。わたしだけを。
リビングに戻ると、先輩はぼうっと立っていた。喉が渇いたと言っていたのに、なにも飲んでいない。
うれしそうに弾む声に、わたしの熱が沈む。
「キヨちゃんはこの鳴き声、よく聞くの? ていうか、なんか意味あんの?」
「これ、甘えてるときの声なんです。でっちゃん、先輩を警戒しなくなったのかも」
「まじで? やった。すげえうれしい」
先輩は無邪気にゲージに駆け寄った。行き場をなくしたわたしの手は、マネキンのように白い。
「わたし、洗面所行ってきます」
「おう。冷蔵庫あけていい? 喉渇いちゃって」
わたしは頷き、洗面所に向かった。つめたい水で手を洗い流せば、熱は完全は消え去った。ため息をつき、ついでに軽く化粧なおしをする。
長い時間いっしょにいられるのはうれしいけれど、そのぶんどうしたって化粧がくずれる。ボロがでる。あのつやつやの黒豆の瞳に、わたしはどう映っているだろう。どう映れば、もっとわたしを。わたしだけを。
リビングに戻ると、先輩はぼうっと立っていた。喉が渇いたと言っていたのに、なにも飲んでいない。