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「ちょっと! なんでもっと早く教えてくれなかったの? ストレス発散、つき合ってもらうからね。え、今夜あいつと会うの? それならあいつも道連れね。カラオケ、部屋抑えておくから」
正美ちゃんをうまく誘いだしてダブルデートさせてくれと懇願する須永さんに、正美ちゃんが帰省していることを伝えると理不尽に怒られた。
帰省していなかったとしても、正美ちゃんがダブルデートしてくれるとは思えない。それでも反論するのも面倒で、わたしは「はあ……」と気の抜けた相槌をうった。
ミラーボールがぐるぐる回る酸欠気味の密室で飲むメロンクリームソーダは、いつにも増して人工的でこの上なくチープな味だった。ほんとうのメロンの味はどんなものだっただろう。
「え、うそっ。七十三点? この機械ぶっ壊れてんじゃないの? おかしいでしょ!」
何曲か歌った須永さんはカラオケマシーンにケチをつけた。たしかに須永さんの歌声はなかなかのものだったので、それには同意できた。
「わたしだいぶ歌ったし、しばらく休むわ。ふたりでなんか適当に歌ってて」
須永さんは先輩にマイクを差し出した。けれど先輩は、すぐさまそれを突き返した。