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からからからからからからからから――まだ薄明るいなか、でっちゃんは今日も規則正しく世界を回す。
「これなに? なんの音?」
先輩はむにゃむにゃ言いながら背中をぎゅううっと丸めた。まだ眠い寝る。駄々をこねる姿は子どものようで、くすぐったさと歯がゆさがこみ上げる。
わたしは気怠い身体をベッドからずるりと這い上がらせて、キッチンへ向かった。ブラインドの隙間から落ちる、ボーダーの影。横断歩道のような影を踏みながら、これは青信号か赤信号か、はたまた黄色信号かとぼんやり考える。
「どしたの、キヨちゃん」
「喉が渇いて。先輩も水飲みますか」
「うん。飲みたい」
先輩はのそのそと上半身だけを起こすと、冬眠明けの熊のように目をこすった。わたしもベッドに腰をかけて、グラスを渡す。触れ合った指先から昨夜を思い起こすと、腹の底がどんよりと重たく濁った。
これは赤信号かもしれない。
まだ半開きの目をした先輩は、ランニングホイールを回すでっちゃんのゲージを眺めている