「店長さんも先輩のお友達も気さくで、働きやすそうです。お店の内装もすごくかわいいし」

「ああ。いいよな、あの五十年代風の感じ」

 アメリカンダイナー風のカフェは赤と黒のチェッカーフラッグの床で、壁には隙間なく英字のポスターやステッカーが貼られている。ディスプレイされたブリキのおもちゃは店長の趣味らしい。三百六十度どこを見ても目がちかちかする、おもちゃ箱のようなにぎやかさ。

「でもわたし、ああいうのじゃなくて、ザ・和風みたいな。そういうのも好きなんですよね。和風っていってもかしこまったやつじゃなくて、もっと親しみやすい感じの」

「わかるわかる。おれもそういうの好き。西瓜とかラムネ瓶が似合うようなやつ。で、縁側では」

 三毛猫が丸まって――と、わたしたちは同時に言って、同時にお腹を抱えて笑った。ガーリックシュリンプを持ってきた店員は微笑ましそうに会釈をして去っていく。あの店員の目に、わたしたちはどう映っているだろう。

「うわ、すげえ。おれたち息合いすぎだろ」

 くしゃっと笑い、先輩が言った。この人は笑顔の種類が多い。