今日は何曜日だろう。今日は何色だろう。こんな部屋にいたらなにもわからない。
 みーちゃんに訊いてみようと思ったけれど、みーちゃんはやっぱり赤ちゃんみたいにしゃくり上げるから訊けなかった。泣き止んだら、訊いてみよう。
 背中をさすっているうちに、みーちゃんはコトンと眠りについた。皺だらけになったシャツがめくれ上がり、お腹が見える。あまり見ちゃいけないな。目を細めて手をのばし、ささっと直そうとした――そのときだった。
 スパッと切り裂いたカーテンの切れ目のような痕が、白いお腹のうえでひときわ白くてらてらひかり、その存在を見せつけていた。周りの皮膚はそれを必死に隠すようにひきつり、悲鳴をあげている。
 どくん、と心臓が胸を叩いた。
 傷痕にそっと触れると、みーちゃんはわずかに唸ってから、ふたたびすうすう寝息をたてた。どうしてみーちゃんが私にやさしくしてくれたのか、わかった気がした。
 みーちゃんの汗ばんだ丸いおでこにそっと唇を押し当て、そのままいっしょに眠った。シーツも顔も身体もみーちゃんも私も、ぜんぶぐちゃぐちゃで、ぜんぶひとつになれた。私のはじめてのキスは、しょっぱい汗の味がした。