「ごめんね、あーちゃん。ごめんね。ほんとうにごめんね」
 がばっと抱きついてきたみーちゃんは、赤ちゃんみたいにわんわん泣いた。伸びきってしまったTシャツの丸首部分が、涙でじょわじょわ濡れていく。みーちゃんの頭からは汗と脂の匂いがした。
 私に手をあげたみーちゃんと、いま目の前にいるみーちゃんが、別の人だったらいいのに。
 泣きじゃくるみーちゃんが涙といっしょにぼろぼろ落としていく言葉を、私はぼんやりと拾った。

 ――どうしてこんなことを……。
 ――ごめんね、あーちゃん。ごめんね。お願いだから許して。
 ――もうしないよ。ぜったい、ぜったい、しないよ。
 ――どうして、同じことしてるんだろう。
 ――どうして、ママはこんなこと……私にできたんだろう……。

 みーちゃんの言ってることは、私にはよくわからなかった。だけどなんだか可哀そうになってしまって、頭を撫でた。するとみーちゃんはもっと泣いて、もっと強く抱きしめて、ごめんねごめんねと繰り返した。