* * *

 どうしてこうなっちゃったんだろう。
 薄闇に染まった白い天井をぼんやり眺める。何度考えてみようとしても、頭はぼうっとするし、腕はじんじんと痺れるし、考えが広がらない。
 ああ、そうだ。約束を破ったからだ。約束を破ったから、みーちゃんは罰を与えたんだ。
 悪いことをしたら罰が待ってる。そんなのは当然。だからみーちゃんは悪くない――と考えてみるけれど、だったらみーちゃんが嘘をついたことには、罰はないのかな。勝手にスマートフォンを見たことや、勝手にベランダに出たことの方が、もっといけないことなのかな。

 ――調子にのってんじゃないよ。

 お母さんの声が頭のなかで響いて、脳髄まで揺さぶられた。
 そうか。これは調子にのったせいだ。私が悪いんだ。
 それにしても、みーちゃんの爪が短くてよかった。お母さんに叩かれたときみたいに、シーツを血で汚さないですんだ。
 天井も壁もシーツもカーテンも、この部屋はすべてが白い。私はもうこの白のなかに溶けてしまったのかもしれない。自分の輪郭を感じることができない。そんなもの、もともとなかったのかもしれないけれど。