「う、あ」
目を覚ますと、病院だった。
「天舞音?」
「お母、さん」
よろよろとそばによるお母さん。目尻に涙が浮かんでいた。よほど、心配していたんだろう。
「良かった」

「天舞音ちゃん」
「先生」
小さい頃からお世話になっている先生。
「大丈夫?」
「はい」
「あのね、天舞音ちゃん。今、大丈夫だったけど今病気が異様に悪化しているんだ」
えっ?悪化、している?ていうことは、余命を宣告された日より前に死ぬ、ってこと?
そんなの、嫌だ!
「やめて!」
耳を塞いだけれど、頭の中ではぐるぐると、「病気が悪化している」という先生の言葉が頭の中を駆け巡っていた。
「大丈夫だよ、天舞音」
お母さんが慰めてくれているけれど、無駄。
「ちょっと、私と先生席、外すね。維斗くん、あなたを心配して、外で待っててくれているの。呼ぼうか?」
「お願いします」
お母さんは、先生と席を立って入れ違いに維斗が入ってきた。
維斗の顔は、深刻そうだった。
「維斗。ごめんね」
「何で、謝るんだ?」
「だって、発作見たくなかったでしょ?」
「…」
維斗は、小さい頃から一緒にいた。
あれは、そう。
2年前。
教室で、授業中私は息苦しさを覚えそのまま倒れて病院に緊急搬送された。その姿を目の当たりにした維斗は、それ以来発作を起こさせないよう、全力を尽くしてくれた。
でも、無理だった。
「ごめんね」
「謝るな」
泣きたいのは、同じはず。でも、必死で維斗は堪えている。
「維斗」
「何、だ?」
「泣こう。一緒に泣こう!」
首を大きく振って、頷く維斗。維斗と一緒に私は泣き続けた。

「そろそろ、帰る」
そう言って、維斗は帰ってった。