消えたい。いなくなりたい。あの日から、ずっとそう思ってきた。皆が私を異物として見る瞳が忘れられなかったから。皆の目が怖かったから。
 ウサギも、人も、一人じゃ生きていけない。
 もともと自分を殺すことは得意だった。皆に埋没して生きていくこと、それは私にとってそんなに難しいことじゃない。
 でも、なんでだろう。
 怖かった。自分がまるで、この世からいなくなるみたいで。──そう望んでる、はずなのに。
 主人公になれたら。誰かを助けられたら。誰かの特別になれたら。皆の人気者になれたら。
 そんな妄想は全部、埋没していく自分を鳥瞰した別の自分が叫んでいた、本当の願いだった。

 だから、あなたが私を見つけてくれて、本当に嬉しかったんだ。