しかし千世は、自分のせいでケガを負わせてしまったことに責任を感じ、千世なり看病をしていた。


「紫雨様、いけません!まだ傷が治っていないというのに…!」

「いや…だが、飯くらい自分で食べれ――」

「わたしがやります!はい、お口を大きく開けてください!」

「…ん、こうか?」

「もっとです!」


千世に食事を食べさせてもらう紫雨。

恥ずかしさでほんのりと頬を赤くしつつも、その表情はまんざらでもなかった。


千世の純真無垢に看病する姿を見て、愛おしくてたまらなかったのだ。


「…それよりも。どうして紫雨様は、あんな無茶をしてまでわたしを助けてくださったのですか…」

「なにを言ってる。そんなの妻だからに決まっているだろう?」

「それですっ…。わたしはずっと疑問に思っていたのです。紫雨様は人間嫌いのはずなのに――」