しかし、今日たまたまお守りを忘れてしまった千世。

そのせいで菊丸に狙われたのだった。


「ボク、若い女の人の血が大好物なんです。余すことなく吸い尽くしますので、なにもこわがることなんてないですよ」

「…いやっ…!こないで…!」


千世は、あまりの恐怖で足の力が抜けてしまった。

立つことができず、尻もちをつきながら後ろへ下がることしかできない。


もちろん、そんなことで菊丸から逃げられるわけがない。


「つっかまえた〜!なんで逃げるんですか?千世さんが言ったんですよ。ボクにお礼をしたいって」

「それはっ…」

「だから、お礼…してもらいますね。それでは、遠慮なくいただきま――」


そう言って、菊丸が千世の喉笛へ噛みつこうとした瞬間――!!

突然、菊丸の顔面目掛けて矢のような稲妻が飛んできた。