「正真正銘、この想いは本物だ。なぜ俺の態度が変わったか…。それは、また今度話すことにしよう」

「…えっ、ですが――」 

「だからまずは、お前の血をもっと吸わせろ」


耳元でささやかれ、紫雨の熱い吐息がかかる。


前までは、訳もなく紫雨が毎晩血を求めてくるこの行為が嫌だった。


しかし、その理由を知って、紫雨が自分ためを思ってやってくれていると思ったら――。

千世も紫雨とのこの甘い時間を欲してしまっていた。


「…紫雨様、お願いします」


千世が顔を赤らめてお願いすると、満足そうな笑みを浮かべた紫雨が千世の首元に顔をうずめた。



こうして、千世は叢雲家の屋敷で正式に紫雨の妻として暮らすことになった。


あとから、どうして行きと同じ道を使ったというのに早く不破家へ着いたのかと紫雨に問われた千世。