そうではあるが、そんな麗姫に目をつけられ、呪いの対象となったのが千世だった。


大庭家に麗姫が舞い降り、当時まだ14歳だった千世の首元に麗姫が噛みつく。

そして、呪いの毒を千世の体内へと流し込んだ。


――それは、辰之助と秀美が目を離した一瞬の出来事で。

目的を果たすと、麗姫は姿を消したのだった。


千世はその場で意識を失い、数日間眠り続けた。

ようやく目を覚ましたと思ったら、麗姫に襲われたことは一切覚えていなかった。


まだ14歳だというのに、二十歳で死ぬとわかったら…この子があまりにも不憫に思えて仕方がない。


心を痛めた千世の辰之助と秀美は、本人に呪いのことは告げなかった。


そうとは知らない千世は、無邪気に、そして美しい女性へと成長していく。


辰之助と秀美は、死にものぐるいで麗姫の呪いを解くすべを探した。