「わかった」


その言葉を聞いて、はっとして顔を見合わせる千世と正彦。


「いつまでも女性との交際がないから心配していたが、そういうことなら見合いは断っておこう」

「それは本当ですか、父さん…！」

「本音を言えば、不破家の跡継ぎである正彦の妻になるのにふさわしいご令嬢と見合いさせるつもりだったが、お前がそこまで言うのなら…仕方ないな」

「父さん、ありがとう！」

「…ありがとうございます！」


正彦に続いて、深く頭を下げる千世。


「だが申し訳ないが、結婚するにあたって君のことは調べさせてもらう。悪く思わんでくれ。不破家の嫁になる者には必ずしていることだ」

「もちろんです…！どうぞお調べください」


千世は、母方の家が旧財閥ではあるが、両親は駆け落ち同然に家を飛び出していた。