久しぶりのこの感覚に、千世は恥ずかしさで顔を赤らめながらも、甘い疼きに酔いしれそうになるのを紫雨に悟られないために必死に表情をつくる。


「紫雨様…。いつも思っていたのですが、これはいったい…。わたしは…生き血を吸われて死ぬのですか?」


その問いに、紫雨はぽかんとした顔で千世の首筋にうずめていた顔を上げる。


「生き血を吸われて死ぬ?千世お前、今までそんなことを考えていたのか?」

「…は、はい。鬼は人間の生き血が好物だと…」


おそるおそる振り返る千世に対して、紫雨はくすりと笑う。


「生き血を好むのは、陰の鬼だ。俺たち陽の鬼は、生き血を求めたりなんかしない」

「…えっ!?ですが、実際にこうして…」

「時と場合によっては、生き血を欲するときもある。しかし、お前にやっているこれはまったくの別物だ」