風呂へ入り、用意されていた着物に着替える千世。

そのあと、千世は紫雨の部屋へと向かった。


「…失礼します」


千世は、紫雨の部屋の障子を開ける。


「きたか、千世。こっちへこい」


紫雨は読んでいた本を畳に置くと、千世に向かって手招きする。

千世がひょこひょこと歩み寄ると、紫雨はその手首をつかむと一気に引き寄せた。


「…きゃっ…!」


小さな悲鳴を上げた千世は、気づいたら紫雨のあぐらの上に収まっていた。


「紫雨様…!急になにを…!」

「驚くことでもないだろう。まずはいつものアレをさせろ」

「“アレ”…?」


きょとんとする千世。

その千世のあらわになった首筋に紫雨が噛みついた。


「…あっ、待っ――」

「待ってやるものか」


小さく抵抗する千世の手首を片手で捉えて拘束する紫雨。