別れを切り出されると思い、覚悟を決める千世。

しかし――。


「そこで、近々千世を父さんに紹介しようと思う」

「…え!?」


思いがけない言葉に驚く千世。


「見合いなんてしない。僕が結婚したいと思うのは、千世だけだから」

「…正彦さん」


正彦のあたたかみある言葉に、思わず千世の目にうれし涙が浮かんだ。



数日後。


千世は正彦といっしょに、正彦の父である貞夫(さだお)の部屋にいた。


2人がいっしょにきたことにより、貞夫はなにかを悟る。


「ワシに話というのは?」


そこで、正彦はすべてを打ち明けた。


半年前から、千世と交際していること。

千世とは将来を真剣に考えているため、見合いをするつもりはないこと。


貞夫は静かに正彦の話を聞いていた。

そして、ひと言だけ――。