「…え?2つとも千世のだよ?」

「おいしいものを食べるときは、正彦さんといっしょがいいのです」


2人は、周りには内緒でキャラメルを食べながら微笑み合うのだった。


そんな仲睦まじい2人は、実は恋人同士。


始まりは、正彦の一目惚れ。

正彦が千世に一方的に想いを寄せ、1年ほど前に告白。


しかし、真面目な千世は、雇い主のご子息とそのような関係になることはあってはならないと言って、正彦からの交際の申し出を断った。

それでも諦めきれずに正彦からのアプローチが続き、その想いが千世に伝わり、半年前から密かに交際している。


「千世。最近父さんが、ことあるごとに見合いをしろとうるさいんだ」

「お見合い…。…そうですか」


肩を落とす千世。


千世はわかっていた。

自分では分不相応ということくらい。