この國は古来より人間と鬼とが共存し、今日まで繁栄を築いてきた。

身なりは人間とまったく変わらない鬼は、2つの種族に分けられる。


人間の暮らしの中で、人間と同じように生活する鬼を『(よう)(おに)』。

人間に対し悪意を持ち、危害を加えたくらむ鬼を『(いん)(おに)』。


彼らは、似て非になるもの。

陰の鬼は妖術により人々に災いをもたらし、陽の鬼は妖術によりその災いを祓うとされる。


陽の鬼は人々から崇められる存在でもあり、現代においてその影響力は絶大。


しかし、陽の鬼は陰の鬼に対して圧倒的に数が少なく、また妖術も陰の鬼より劣るため、陰の鬼による災いや呪いに苦しめられる人々はあとを絶たなかった。


そして、ここにも逃れようのない運命を背負った少女が1人――。