まあ、僕も光子様を信じていますから、同じですね」

春光もまた、威宗と同じ顔をしていた。

「……そっか」

ふたりの答えを聞いてますます落ち込んだ。
私は彼らのように、伶龍に信頼されていない。
信頼されるようなことをやってこなかったんだから当たり前だ。
しかも今から取り返そうにも、伶龍はいない。

「大丈夫ですよ、伶龍はきっと翠様の気持ちをわかっています」

「そうですよ。
刀が巫女を信頼しないなどありえません」

「……ありがとう」

ふたりは慰めてくれるが、それでも私の心は浮上できなかった。



入院期間はひと月ほどになった。
私が退院する頃になっても伶龍は戻ってきていない。

「痛い痛い痛い痛い……!」

「泣き言言うんじゃないよ」

滝に打たれる私の隣で、祖母が呆れたようにため息を落とす。
動けるようになり、祖母から巫女として一から叩き直されていた。

「ううっ、痛かった……」

「ほら、次行くよ。
休んでる暇なんてないからね」

「ひっ」

滝行がやっと終わったかと思ったら、そのまま山渡りに連れていかれる。
私はふらふらなのに祖母は溌剌としていて、化け物かと思う。