見えている手のひらには立派なタコができていた。

「そ、それは。
当たり前、っていうか」

慌てて腕を引き、手を引っ込めて隠す。
隠していた秘密を当てられ、みるみる顔が熱くなっていく。
夜、みんなが寝静まったあと、こっそりひとりで弓の練習をしていた。
私が満足に矢を射られないから、伶龍の足手まといになっている。
私が正確に同じ場所に矢を当てて素早く核を露出させれば、伶龍だって無駄に刀を振るわなくていいはず。
伶龍が核を切るよりも早く御符を刺せば問題もないはず。
そのためにはもっともっと鍛錬が必要だ。
人に、特に伶龍に知られたくなくて見つからないようにやっていたのに、知られていたとは思わない。

「なにも知らず、好き勝手言う人間など放っておけばいいのです。
それに命を失うかもしれない覚悟を持って穢れと対峙している人間を、バカにする人間のほうがバカです」

「……そう、だね」

威宗の言葉がずんと重く身体にのしかかる。
私はそんな覚悟もなく穢れと戦っていた。
だから伶龍は怒り、私に愛想を尽かせた。

「ですからこんな人たちなど気にせずに、今はゆっくり休んでください」

「……そうする」