目を開けたら知らない天井が見えた。

「あれ?
生きてる……」

穢れに襲われてビルが崩れ、空中に放り出されて確かに死んだと思った。
なのにこれはどう見ても、生きている。

「『生きてる……』じゃないよ、このバカ孫が!
もう少しで死ぬところだったんだからね!」

一気に捲したてたかと思ったら、横に座っていた祖母に思いっきり頭をはたかれた。

「うっ」

怒られても仕方ないので、なにも言い返せない。

「でも、なんで……?」

起き上がろうとしたら威宗が手を貸してくれた。
右足は吊られていて、動きにくい。
さらに左手もがっつり固めてあった。

「伶龍があんたを受け止めてくれたんだ。
おかげでそれくらいの怪我で済んだんだ、伶龍に感謝しな」

「……はい」

ビルから落下しながら伶龍の声が聞こえた記憶はある。
そうか、彼が助けてくれたのか。

「その。
伶龍、は?」

病院の個室、祖母と威宗はいるが、伶龍の姿はない。

「あれから姿を見せないんだよ。
家にも帰ってない」

はぁーっと物憂げなため息を祖母がつく。

「捜索はしてるんだけどね……」

「そっか……」