今まで私が祓ってきたのは全部、Cクラスだった。
なのにBをすっ飛ばしてAだなんて。

「〝ただの〟Aだ」

じっと祖母が私を見据える。

「……はい」

おかげでそれ以上、なにも言えなくなった。
穢れにはA級以上が存在する。
AA(ダブルエー)級、AAA(トリプルエー)級だ。
特にAA級以上を〝大穢れ〟と称する。
母はAA級相手に命を落としたが、あとであれはAAA級だったんじゃないかという話が出た。

「A級なんてちーっと大きいだけのただの穢れだよ。
臆する必要なんてない」

「……はい」

祖母は過去にAA級と数度、戦っている。
そんな実戦経験者に私が意見なんてできるはずがない。

「今から準備にはいんな。
話は以上だ」

「わかった」

短く返事をして頷き、伶龍はさっさと拝殿を出ていく。
その背中を私は黙って見送るしかできなかった。



急ピッチで準備が進んでいく。
出現は四日後。
ちなみに穢れは大きければ大きいほど、早く感知しやすい。

「……伶龍」

現地に向かう車の中、隣に座る伶龍に声をかける。