「待って、伶龍……!」

「もらったー!」

止める間もなく、伶龍が核へと刀を突き立てた。

「ああ……」

膝からその場で崩れ落ちる。
おかげで結局今日も、穢れが噴き出した液体でずぶ濡れになる羽目になった。

シャワーも浴びさせてもらえず、柴倉さんの説教が始まる。

「まったく、いい加減にしてもらえませんか?」

完全に彼は激怒している。
そのせいで自主的に地面の上に正座していた。

「……すみません」

詫びたところでなにもならないが、せめてもでしおらしく項垂れる。

「もう何月か知っていますか?」

「……四月、です」

咲き誇る桜は真っ赤に濡れていた。
せっかくの桜の名所だが、今年の花見は絶望的だろう。

「初陣からもう三ヶ月が経っているんですよ、三ヶ月が!
そのあいだに何度、討伐に成功したんですかねぇ」

片頬を歪めて皮肉る柴倉さんの口端はヒクヒクと引き攣っている。

「……0回、です」

穢れは月に一、二度出現し、今日の任務が五回目だった。
なのに今まで一度もまともに任務をこなせたためしがない。

「もうすでに今年の予算の半分以上を使っているんですよ、わかっていますか?」