視力検査にそんなものはない。

「じゃあ、これは?」

威宗が隣のランドルト環を指す。

「上だ!」

伶龍は自信満々だったが、残念ながら開いていたのは右だった。

「詳しい検査はしてみないとあれだが、これで伶龍は目が見えないのがわかった」

「……だから見えてるっつーの」

伶龍は完全にふて腐れている。
けれどこれで、核に刀が当たらなかった理由がわかった。
ぼんやりとしか見えていないから適当に当たりをつけて振り下ろしているからだ。
そういえばまんがもかなり近い距離で読んでいた。

「でも、矢とか足とかは防いでたよ?」

的確に彼はそれらを弾いていた。
なら見えていないとかないのでは?
でも、この検査結果だと確かによく見えていないんだよね……。

「空気の振動とかでわかるんじゃないかい?
あと本能」

祖母の隣でそのとおりだと威宗が頷く。
そうか、あれは無意識にやってるのか……。

「ばあちゃん。
刀が目が悪いとかあるの?」

伶龍は刀に宿る神様みたいなもんだ。
なのに目が悪いとか普通なら考えられない。

「あんだけ数がありゃ、中にはそういう刀だっているんじゃないかい?」