伶龍も呼ばれたらしく、不機嫌そうに祖母の部屋で座っていた。
そしてなぜか、視力検査でよくみるランドルト環とひらがなの書かれた表が貼ってある。

「伶龍。
あんた、目が見えてないね」

祖母の言葉に思わず彼の顔を見ていた。
目が見えない?
そんなはずはないだろう。
まんがだって読んでいるくらいだし。

「は?
見えてるっつーの」

伶龍も同じらしく、不服そうに祖母を睨む。

「よく見えてないだろってことさ。
ほら、ここに立ちな」

強引に祖母は、印をつけてあった場所に伶龍を立たせた。

「両目でいい。
威宗が指す字を読みな。
輪っかは開いている方向だ」

「へーへー」

やる気なさそうに伶龍が検査表を見る。

「では、始めます。
これは?」

威宗が細い棒で一番上のひらがなを指す。

「……〝あ〟」

「これは?」

「……〝は〟」

ひとつずつ、威宗が指す文字を下げていく。
しかし、三つ目で。

「〝い〟?
いや、〝け〟か?
〝り〟の可能性も……。
大穴、〝し〟もあるか?」

思いっきり目を細め、伶龍は近づこうとしたが祖母に止められた。
それはいいが大穴ってなんだ?