小声で、さらに早口で柴倉さんが捲したて、最後に憂鬱なため息をつかれて一気に背筋が冷えた。

お役目は済んだので、家に帰る。

「疲れたー」

前日からほぼ丸二日、気を張りっぱなしだった。
しかも結果はあれだ。
疲れるというものだろう。

「でも、終わりじゃないんだよね……」

自分の部屋に戻りパソコンを立ち上げ、メールをチェックしてため息が漏れる。
そこには省庁の担当者から多数のメールが送られてきていた。
一つ一つのメールにさらに、大量のファイルがついてきている。
封じ込んで上手く核を破壊していれば、こんなにたくさんの書類処理に忙殺されずに済んだのだ。

「ううっ、伶龍め……」

彼を恨んだどころでどうしようもない。
とにかく少しでも進めようと、一番下から処理を始めた。

「翠様、よろしいですか」

ふすまの向こうから威宗の声が聞こえ、キーを叩く手を止める。

「なにー?」

「花恵様がお呼びです」

「わかったー、すぐ行くー」

「わかりました」

ふすまを開けることなく返事をする。
腕を伸ばして背伸びをし、首を倒して凝り固まった肩を解して立ち上がった。