まあ、わかるけれどね。

「伶龍、オマエもだよ」

祖母の隣でニヤニヤ笑って高みの見物をしようとしていた伶龍だが、自分も命令されて驚いている。

「さっさと座りな」

「……はい」

低い声で重ねて命じられ、さすがの伶龍もおとなしく私の隣に座った。

「まずは初陣の勝利、おめでとう」

嬉しそうに顔を輝かせ、伶龍の頭がぱっと上がる。

「だが!」

祖母が頭を押さえつけるような怒気を孕んだ大きな声を出し、伶龍共々びくりと大きく身体を震わせた。

「なんだい、ありゃ。
穢れを前にして喧嘩?
随分余裕だねぇ」

わざとらしくため息を吐き出した祖母は皮肉たっぷりで身体が縮こまる。

「それでも無事にお役目さえこなせば文句は言わないよ。
無事にこなせれば、ね」

さきほどまで凍えるほど寒かったはずなのに、だらだらと汗を掻いた。

「で、でも!
伶龍、が……」

それでも果敢に言い訳を試みるが、祖母から眼光鋭く睨まれ、声は次第に小さくなって消えていく。

「言い訳するんじゃないよ。
刀の制御は巫女の勤め。
伶龍の制御は翠の勤めだ」

「……はい」

俯いてきつく唇を噛んだ。