首根っこを掴んで伶龍の顔を無理矢理外へと向ける。
真っ赤に染まった町では防護服姿の人たちが除染作業をしていた。
今回は小規模だったとはいえ、何日くらいかかるんだろう。
そのあいだ、被害地域の人たちには不自由をかけてしまう。

「なんだよ、穢れは祓えたんだからいいだろーが」

伶龍は唇を尖らせてふて腐れているが、そういう問題ではないのだ。

「よくない。
だいたい、あんたが段取り無視してひとりで突っ走るから……!」

「ガタガタうっせーな!
結果よければすべてよしだろ!」

「はいはい。
あんたたち、どっちもどっちだよ」

いがみあっていた私たちの目の前に手が現れ、私と伶龍を引き剥がす。

「だって、伶龍が」

文句を言おうとして固まった。
そこには祖母が額に青筋を浮かせて立っている。
さらにその後ろには笑顔だが口端が引き攣っている、役人の柴倉さんが控えていた。

「す、すみません……」

バツが悪くなり、すごすごと引き下がる。

「座りな」

「は、はい」

祖母に命令され、傍にあるパイプ椅子に腰掛ける。
地面に正座と言われなくてよかった。
それほどまでに祖母はお怒りモードだ。