伶龍の刀が核の中心を貫いた瞬間、一気に梅干し大にまで収縮した核はすべてのエネルギーを解放するかのごとく破裂した。
おかげで頭上から真っ赤な血のような雨が降り注ぐ。

「ああ……」

やってしまった。
これは絶対に、避けなければいけなかったのに。

「勝ったのになに落ちこんでんだよ」

打ちひしがれてしゃがみ込む私の膝を、伶龍は革靴のつま先でつついた。

とりあえず綺麗にしてこいと言われ、簡易シャワー室でシャワーを浴びる。

「ううっ、冷たい……」

真冬に真水のシャワーは身を切るように冷たい。
しかし穢れがまき散らした液体は触れれば障りがあるため、浄水で清めなければならないので仕方がない。

「せめてお湯で温まりたい……」

愚痴ったところでここにはそんなものはないのだから諦めるしかない。
簡易シャワー室だって不用意にあれにさわってしまった人用の、念のためのものだし。

準備してあったジャージに着替え、シャワー室を出る。

「お疲れ様でございました」

控えの場所でパイプ椅子に座ったところで、威宗がお茶を出してくれた。

「ありがとう。
……温かい」