反射的に彼に謝っていた。
が、頭を下げた瞬間、疑問が浮かんできた。

……これは私が悪いのか?

確かに手が滑り、彼に向かって矢を打った私は悪い。
しかし伶龍だって邪魔になるから離れてと言っても離れてくれなかったではないか。

「てかさ。
さっきから散々、どいてって言ったよね?」

負けじと少しだけ上にある、彼の目を睨み返す。

「あ?
俺がやりやすいようにするのがオマエの役目だろーが」

穢れの足が向かってきたが、邪険に伶龍が刀ではじき返す。

「私が核に御符を打ち込むまでは援護だって言ったよね?」

伶龍が足を防いでいるあいだに、続けざまに穢れへ術の刻まれた矢を打ち込んだ。
蟲が蹴散らされ、徐々に核が姿を現す。
ソフトボール大のそれは、禍々しいまでに赤く輝いていた。

「そんなん知るか!
俺は、俺がやりたいようにやる!」

伶龍の視線が見えてきた核にロックオンされる。

「えっ、ちょ……!」

御符をセットした矢をつがえ、弓を引き絞りながら固まった。
跳躍した伶龍が穢れに取りついている。

「封じるのが、先……!」

しかし私の言葉など聞く耳持たずで、伶龍は大きく刀を振り上げた。