「……穢れが、来るよ」

静かなその言葉は酷く重く、知らず知らず背筋が伸びた。

「来るのか!」

途端にそれまでうつらうつらしていた伶龍が目を覚ます。
その目はらんらんと輝いていた。

「ああ、あんたたちの初陣だ。
上手くやんな」

にやりと祖母が片頬を歪めて笑う。

「よっしゃー!
やってやる……!」

伶龍は立ち上がり大興奮だが、私には不安しかなかった。



お告げが下ったので大急ぎで穢れを祓う準備が整えられる。
出現想定日前日から該当地域の人間はすべて避難。
私たちはその地区にある中学校校庭に設置されて仮設司令所に詰める。

「緊張する……」

巫女服姿で弓を抱き、パイプ椅子に座って私はガッチガチになっていた。

「そんなに緊張する必要ないだろ。
私も控えているんだし」

「あいたっ!」

背中を思いっきり叩いた祖母を恨みがましく見上げる。

……控えているって、よっぽどヤバい状態にならない限り出てこないって言ったじゃない。

小さくため息をつき、威宗が淹れてくれたお茶を飲んで少しでも落ち着かないか試みる。
そんな私とは反対に伶龍は。