刀の不始末は主の不始末と、伶龍が盗み食いした分は私のお小遣いから補填されていた。
いや、威宗はいいと言ってくれたのだ。
けれど祖母が許してくれない。
あの、頑固ばばぁめ。

そんなわけで伶龍が顕現してからというもの、私のお小遣いはピンチだった。
なら働けといわれそうだが、大学生と巫女の二足のわらじではバイトをするほどの余裕はない。
巫女のお勤めも多いし。

「ううっ。
穢れ、出現しないかな……」

あんなもの出てこないのが一番いいのは身をもって知っているが、それでもつい口から出ていた。
穢れを祓えば特別手当が出るのだ。

威宗にまた伶龍にやられた詫びを入れる。

「大丈夫ですよ、その分を見越して多めに買ってありますから」

苦笑いしながら彼はすぐに許してくれた。
本当にできた刀だ。
伶龍も見習ってほしい。

お菓子問題は解決したけれど誰かに愚痴を聞いてほしくて、曾祖母の部屋を訪れる。

「大ばあちゃん、いるー?」

「翠ちゃん、いらっしゃい」

なにやら本を読んでいた曾祖母は顔を上げてにっこりと笑い、私を迎えてくれた。

「もー、聞いてよ。
また伶龍がさー」