「ちょっ、伶龍」

小声で彼の脇腹をつつき、もう少し行儀よくするように注意する。
というかそもそも、威宗からさっきいろいろ聞かされているはずなのだ。
なのにこれって。

「あ?
俺はこういう、かたっくるしいのが苦手なんだよ」

彼は証明するかのようにガシガシ頭をかいているが、そういう問題ではない。

「それにいつまで、これに付き合わなきゃいけないわけ?
もー、我慢の限界」

「うっ」

伶龍の気持ちはわかるだけに、なにも言えなかった。
宴が始まってから誰も彼もが私たちを見てひそひそ話していた。

――史上最低の刀。

――ハズレ。

――この先が思い遣られる。

私だってそれには同意見だが、人に言われるのは腹が立つ。
それに伶龍を選んだのは私だ。
まるで私が無能と言われているようで落ち込みもした。

「おい、おまえら」

伶龍が宴席中を睨み渡す。

「俺は最強の刀だ。
あとで俺を貶したこと、後悔させてやるからな!」

右頬を歪めて伶龍が不敵に笑い、誰もが息を呑む。
けれど私はこのあと、さいきょうは〝最強〟ではなく〝最凶〟だったと知る。