微妙な空気になっていたら、パンパン!と手を大きく叩く音がした。

「儀式の最中だよ!
目が覚めたばかりで戸惑うのはわかるが、伶龍はさっさと皆様にご挨拶しな」

手を叩いた主、祖母が伶龍をじろりと睨み上げる。

「ひぃっ」

さすがの彼も祖母の迫力には勝てなかったのか、小さく悲鳴を上げた。
そのまま座り直し、慌てて頭を下げる。

「れ、伶龍、です。
よろしくお願いします」

「以後、伶龍共々よろしくお願いいたします」

私も急いでその隣に座り、頭を下げた。

儀式が終わり、奥へと下がる。
伶龍は威宗に連れられて着替えに行ったようだ。

「……なんなの、アイツ」

私も巫女服から着物に着替えながら、つい愚痴がこぼれる。

「威勢のいい刀だったね」

一緒に着替えている祖母は愉快そうに大笑いしているが、あれは威勢がいいどころではない。

「威宗のときもああだったの?」

目覚めていきなり大勢の人に囲まれ、挨拶しろだなんて言われても困るのはわかる。
しかし、他の刀もああなのだろうか。

「いや?
最初はぼーっとしてたが、周りを見て理解して、きちんと挨拶したよ。
蒼龍も同じだった」