「おまんじゅう、置いとくね。
あとで大ばあちゃんと食べて」

近くのテーブルに持ってきたおまんじゅうのうち、ふたつを置く。

「ありがとうございます」

ぺこりと頭を下げ、彼は曾祖母の元へ行って持っていた毛布を掛けた。
その様子はまるでおばあちゃんと孫といった感じだが、彼もまた曾祖母の刀なのだ。

「大ばあちゃんに相談に乗ってもらおうと思ったんだけどなー」

厳しい祖母とは違い、曾祖母は私を甘やかせてくれた。
それもあって春光(はるみつ)――曾祖母の刀とは兄妹のように育った。
けれど。

「……いつの間にか私のほうが大きくなっちゃったな」

無意識に苦笑いが漏れる。
小さい頃は兄のように慕っていたが、今の見た目では私のほうが完全に年の離れたお姉さんだ。

――刀は人間の姿を得たときから見た目が変わらない。

契約の巫女が永久の眠りにつき、自身も再び眠りにつくそのときまで。

「……で。
問題はこれですよ」

部屋に帰ってきて、まんじゅうに齧りつきながら再び鍵と対峙する。
鍵には番号の書かれた木札が付いており、これで各刀を管理している。