曾祖母はすでに一応引退していて、今回のように大穢れが出たときしか出撃しない。
前回は五年前になる。
しかもそれはバックアップであって、実際に曾祖母が戦っているところを見た人間はもう、現場にはあまりいない。
祖母が活躍する前の話は伝説になっているようだ。

「花恵様と光子様が出るなら大丈夫だろ」

「そうだな」

緊張した面持ちだった若者たちが、少しだけだが安堵の表情になる。
実績とはそれだけでみんなを安心させられるのだと痛感した。
私も、こうなりたい。

夜も遅くなり、祖母と曾祖母は仮眠を取った。
祖母は椅子に座ったまま、曾祖母は簡易ベッドでだ。
私はといえば眠れなくて、外をうろうろしていた。

「さみぃな」

「そうだね」

伶龍から声をかけられて、振り返る。
すぐに彼は隣に並んできた。

「コート、着ればいいのに。
支給されてるでしょ?」

彼はいつものスーツ姿で寒そうだ。
一方の私は巫女服の上に有名アウトドアショップ協賛の、特注アウターを羽織っていた。

「いざってときに動きにくいからな、あれ」

「動きにくいって」