「大穢れが出現するまではしっかり英気を養い、まわりの安心させるのが私らの仕事だよ。
わかったかい?」

「うん、ばあちゃん」

もういまさら、じたばたやっても仕方ないのだ。

それでも六人で、最終の打ち合わせをする。

「私がメインで出るよ。
翠はバックアップ、母さんは私がもしもときはよろしく頼みます」

「わかったよ」

重々しく曾祖母が頷く。
もしものときって、祖母が動けなくなる――死ぬ事態も想定しているんだろうか。

「翠。
そんな顔しなさんな」

「だって……」

祖母の指摘で、自分が思い詰めた顔をしているの気づいた。
いつだって祖母は絶対に勝って帰ってきた。
祖母が穢れに破れて死ぬなんて、想像したこともない。

「まだわたしゃ死なないよ。
アンタの子を抱くまでは、安心して死ねやしない」

にやりと顔を歪め、悪戯っぽく祖母が笑う。

「そう、だね。
ちゃんとひ孫の顔を見せてあげるから、死なないでよね」

それで少しだけ、気持ちが緩んだ。

打ち合わせをしている私たちを職員たち、特に若い職員がチラチラとうかがう。

「……おい、あれが伝説の光子様か」

「……えっ、あの!?」

聞こえてくる声につい、苦笑いしてしまう。