私が起きたのに気づき、窓辺に座っていた伶龍は目尻を下げて柔らかく笑った。
同時に歌が、途切れる。

「……歌なんて歌えたんだ?」

布団を胸もとまで引き上げ、起き上がる。

「んー?
一応」

すぐに傍に来て、伶龍は私の隣に座った。

「なんて歌?」

「知らねー。
なんか自然と、口から出てた」

ふふっと小さく笑い、彼が額に口付けを落としてくる。
それがくすぐったくて心地いい。

「伶龍の〝伶〟って音楽を奏する人って意味なんだって。
伶龍を打ってたときの音がまるで音楽みたいだったからこの字にしたって書いてあったよ」

伶龍を拝領したとき、由来等の書き付けもついてきた。
そこにはそう、書いてあったのだ。

「俺が音楽とか似合わねー」

伶龍はおかしそうに笑っているが、私は似合うと思うよ。
今の歌、凄く素敵だったもの。

「そうだ、伶龍。
クリスマス!
クリスマスの準備、したんだよ?
イブは大穢れ出現予想日だし、当日も後処理で忙しくてできないだろうけど。
落ち着いたらクリスマスパーティやろうよ」

プレゼントも料理も手配したのだ。
なのに、無駄にするのは嫌だ。