カボチャのランタンは確か、魔除けの意味だったはず。
いや、仲間のフリをして襲われないようにするのなら、当たらずとも遠からずなのか?

「あのね、伶龍。
あれは外国の……外国の……そう!
あれは外国の穢れなの!」

悪霊がモデルだから、嘘は言っていないと……思う。

「外国にも穢れが出るのか!?」

なぜかがしっと、伶龍から両手を握られた。
しかも眼鏡の向こうからは期待込めたキラキラとした目が私を見ている。

「じゃあ、海外遠征できるな!」

「うっ」

あまりにも圧が凄くて、つい目を逸らしていた。

「か、海外にはまた、その国の巫女がいるから、私たちの出る幕はないよ……」

だらだらと変な汗を掻きながら、嘘にさらに嘘を重ねる。

「そうか……」

よほど残念なのかみるみる伶龍が萎れていき、気の毒になった。

「で、でもね。
海外の穢れを祓うお祭りを真似て、日本でもああやってお祝いするの。
だから、さ。
当日はカボチャのパイ作ってもらって、お祝いしよう?」

仮装して街に出るなんてできないが、これくらいはやってもいいと思う。

「……わかった」

それでもまだ、伶龍は落ち込んだままだ。