でも、なんだか楽しみにしているみたいだし、夢を壊すのも悪い気がする。

「えーっと。
伶龍?」

「なんだ?」

私の顔を見た伶龍は、想像しているのかわくわくしていた。

「それって、誰から聞いたの?」

しかし挫けずに、情報収集を試みる。

「誰って……まんがで読んだが?」

「ああ、そう……」

私たち巫女を題材にしたまんがもそれなりにある。
きっと伶龍が読んだのはそんな中のひとつだろう。

「その、ね。
伶龍。
ハロウィンにカボチャの穢れは出現したりしないよ?」

おそるおそる、伶龍に真実を教える。
途端に伶龍の目はそのレンズの高さに迫らんばかりに見開かれ、三白眼が四白眼になった。

「嘘だろ?」

そうだと言ってくれといわんばかりに、彼が私の肩を掴んでぐらんぐらんと揺らす。

「ごめん、伶龍。
嘘じゃないよ」

「じゃあ、あれはなんなんだ!」

キレ気味に彼が指さした先にはハロウィンでは定番の、カボチャのランタンが飾られていた。

「あれが襲ってくるから、ああやって飾って仲間のフリをするんだろ!」

「ええっと……」

待て待て。
情報が錯綜し始めたぞ。